顔面神経麻痺(ベル麻痺)の鍼灸治療

■ 末梢性顔面神経麻痺とは

・急性突発性に顔面麻痺を起こす主なものに、ベル麻痺ハント症候群があるが、そのどちらも顔面神経のウイルス感染が引き金になることが分かってきました。

・幼少期に感染した単純ヘルペスウイルス水痘帯状疱疹ウイルスが、重度のストレスなどで免疫力の低下した身体の中で再活性化し発病することが多いようです。

・脳から出た顔面神経は顔面神経管と呼ばれる骨で取り囲まれた狭いトンネル(直径1~2mm)を通って脳から頭蓋骨の外に出ますが、ウイルス感染による神経管内のむくみにより顔面神経が圧迫・損傷され、麻痺が現れると考えられています。

■ 中枢性顔面神経麻痺とは

・中枢性顔面神経麻痺とは、脳卒中の後遺症や脳腫瘍などで大脳皮質にある運動中枢が障害を受けることで起こります。

・顔面の違和感と併せて、手足がしびれて力が入らない頭痛めまいなどの症状がみられた場合は速やかに専門病院への受診が必要になります。

■ 顔面神経麻痺かな?と思ったら

・一刻も早くお近くの病院へ行き、神経の変性が末梢部分まで進行するのを防ぐことが重要となります。(ステロイドと抗ウイルス薬により顔面神経管内の炎症を早急に抑えることが重要)

■ 鍼灸治療について

・Bell麻痺は特別な治療をしなくても、数か月でほぼ完治するといわれています。しかし数か月でも自分の顔が動かなくなるというのは本当につらい状態だと思います。

・病院での早期治療に加え、適切な鍼灸治療を行うことで病的共同運動(食事の時に涙が出る、口の開閉に伴い目が動く、等)の出現を防ぎ、完治するまでの期間を短くすることができます。

・鍼灸治療では、顔面神経管内の炎症を抑えむくみを軽減させることを目的に、耳の下あたりにある顔面神経の出口部付近へ直接刺鍼を行います。

・また、動かなくなっている表情筋に対して鍼をすることで筋肉の萎縮を予防することが可能となります。

・発症してすぐの場合は、病院への通院に並行して集中的に(週2~3回)鍼治療を行うことをお勧めします。

・発症後数か月以上経過していても、表情筋のこわばりを軽減し、顔面神経の再生を促すことが可能ですので、病院での治療が打ち切られてしまった方も、一度鍼灸治療を試してみるとよいと思います。

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